Xの「おすすめ」が変わった?2026年7月のアルゴリズム変更とFor Youの舞台裏
2026年7月15日頃から、X(旧Twitter)の「おすすめ(For You)」フィードの様子がなんだか以前と違っていると感じている人は多いかもしれない。イーロン・マスクがアルゴリズム修正を公言し、フォローコンテンツの増量や、類似トピックの過剰推薦の制限が行われた。そこで今回は、具体的に何が変わったのか、そして2026年5月にオープンソース化された裏側の仕組みや、これからどうやってXと付き合っていけばいいのかを自分なりにまとめてみた。
で、結局何が変わった?体感とイーロンの発言
先日、タイムラインを眺めていたら急にフィードがすっきりした印象を受けた。それもそのはず、2026年7月14日頃にXのプロダクト責任者であるNikita Bierがアルゴリズムの調整を発表し、イーロン・マスクも自身のXアカウントでこれを追認する明言を行ったのだ。今回のアップデートにおける大きな柱は2つある。
1つ目は、「お互いにフォローしている関係(相互フォロー)からのコンテンツの露出を増やす」という点だ。これまでのFor Youフィードは、興味関心に基づいたフォロー外の投稿やインプレゾンビによるリプライがかなりの割合を占めていたが、これがより親密なローカルネットワーク中心に引き戻された格好になる。2つ目は、「1つのいいねで似たトピックにフィードが埋め尽くされないようにする」というものだ。例えば、ワールドカップの関連投稿を1ついいねしただけで、タイムラインがサッカーの話題一色になってしまうような過度な推薦の偏りを是正したという。
この変更に対するユーザーの反応は真っ二つに割れている。インプレッション数の急激な低下を嘆く声や、返信(リプライ)の並び順が不自然になったという不満が上がる一方で、「フォローしている人の投稿が素直に見やすくなった」「今が一番タイムラインのノイズが少ない」といった好意的な意見も多い。自分自身のフィードを観察してみても、これまでのように興味のないバズ投稿や、一度検索しただけの話題がしつこく推薦される頻度が大幅に減り、知人の近況や追いたいテーマがスムーズに目に入るようになったと感じている。
2026年の大転換:アルゴリズムのオープンソース化とGrok-poweredランキング
今回の微調整のベースには、2026年5月15日に行われたXアルゴリズムの大部分のオープンソース化がある。GitHub上の xai-org/x-algorithm で公開されたリポジトリ情報によると、現在のXは従来のルールベースや手作業によるヒューリスティック(判定基準)を大幅に削減し、xAIが開発するGrokベースの大型Transformerモデル(Phoenixなど)を中心とした深層学習システムへと完全移行している。
このPhoenixシステムは、ユーザーの過去の行動データ(いいね、返信、ブックマーク、滞在時間、リポストなど)をベクトルとして扱い、リアルタイムで関心の高さをスコアリングする。特に2026年の設計方針として、動画コンテンツに対する評価ウェイトが高まっている。また、Phoenixは単に「反応しそうか」だけでなく、コンテンツの質やオリジナル性も多角的に判定している。
以下に、オープンソース化された仕様情報をベースにした、ランキングモデルの基本的なスコアリングロジックを簡潔なPythonコードで表現してみた。実際のシステムはより複雑な分散テンソル計算を行っているが、基本的なロジックの概念を掴むにはこれで十分だ。
# phoenix_ranking_mock.py
# X (旧Twitter) の Phoenix スコアリングアルゴリズムの簡易再現
def calculate_phoenix_score(tweet_features, user_history):
# 基本のエンゲージメント予測確率(Grokモデルが算出する予測値)
base_prob = predict_engagement_probability(tweet_features, user_history)
# 2026年の重み調整パラメーター
weights = {
"reply": 11.5, # 返信は深いエンゲージメントとして評価
"bookmark": 15.0, # ブックマークは強い保存意図とみなされ最重視
"like": 1.0, # いいね単体のウェイトは相対的に低下
"repost": 5.0, # 通常リポストによる拡散
"quote": 10.0, # 引用リポスト(コメント付き拡散)は通常より高評価
"stay_time": 0.05 # 滞在時間(ミリ秒)による微調整
}
# 各アクション確率とウェイトの積和
engagement_score = (
base_prob["p_reply"] * weights["reply"] +
base_prob["p_bookmark"] * weights["bookmark"] +
base_prob["p_like"] * weights["like"] +
base_prob["p_repost"] * weights["repost"] +
base_prob["p_quote"] * weights["quote"] +
base_prob["p_stay_time"] * weights["stay_time"]
)
# 外部リンクの抑制フィルター(2026年のペナルティ仕様)
if tweet_features.has_external_link:
# ドメイン信頼性がない場合や通常投稿はスコアを半減させる
engagement_score *= 0.5
return engagement_score
def predict_engagement_probability(tweet, history):
# 実際はここで深層学習モデル Phoenix が特徴量から確率を推論する
return {
"p_reply": 0.12,
"p_bookmark": 0.05,
"p_like": 0.45,
"p_repost": 0.15,
"p_quote": 0.08,
"p_stay_time": 4500 # 平均滞在時間 4.5秒
}
このロジックからわかるように、単なる「いいね」の数よりも、ブックマークや返信、そして「その投稿にどれだけ長く視線(滞在時間)を止めたか」が重視される設計になっている。また、引用リポスト(重み 10.0)は通常のリポスト(重み 5.0)よりも高く評価されており、タイムライン上での他者を巻き込んだ議論や言及を促すポジティブなシグナルとして機能している。さらに、外部リンクに対するペナルティは相変わらず厳しく設定されており、リンクを含む投稿は自動的に初期スコアが減衰させられる仕様だ。このトレードオフとして、プラットフォーム内の滞在時間を最大化できる一方で、外部メディアや個人ブログへの誘導は難易度が上がっている。
「おすすめ」フィードができるまでの3つのステップ
現在のXのタイムライン生成は、主に以下の3つのステップをミリ秒単位で高速に実行することで実現されている。
第一ステップは「候補集め(Candidate Generation)」だ。ここでは、あなたのフォローしているネットワーク内の投稿(In-Network)から約800件、そしてフォロー外の全世界の投稿(Out-of-Network)から約800件の、合計1600件程度の候補を抽出する。Out-of-Networkの抽出には、あなたと関わりの深いユーザーが反応した投稿や、あなたが過去に反応したトピックに類似する投稿が優先的に選ばれる。
第二ステップは「ランキング(Heavy Ranking)」だ。ここで前述のPhoenixモデルが稼働し、抽出された1600件の候補投稿を一つひとつ分析してスコアリングを行う。ユーザーがその投稿を見て「スクロールを止めるか」「返信を書くか」といった各種行動確率を個別に推定し、最終的なスコアを決定する。
第三ステップは「フィルタ(Heuristic Filtering & Mixing)」だ。ここでは、一度見た投稿や、内容が重複している投稿、スパムアカウントの投稿などが取り除かれる。また、外部リンクペナルティの適用や、同一ユーザーの連投が連続して並ばないようにする多様性の確保もこの段階で行われる。これらの処理を経て、最終的に数件から数十件の投稿があなたのデバイスに届けられる。
私のテストアカでもインプレッションが6割減った話
今回のアルゴリズム更新直後、自分のテスト用アカウントでもインプレッション数が突如前日比で60%も低下するというトラブルに遭遇した。最初は「シャドウバン(一時的な露出制限)」を疑ったが、外部のツールでステータスを確認しても問題はない。原因を探るため、投稿内容と過去のアクション履歴を調査したところ、以下のデバッグプロセスによって問題の根本原因を特定できた。
原因は、「外部リンクを含むブログ告知の連投」と「同一時間帯の過度なリポスト」だった。新アルゴリズムでは外部リンクのペナルティが以前よりさらに厳格に適用されており、かつアカウントの信頼性スコアが一時的に低下したことで、For Youフィードから完全に除外されてしまっていたのだ。
このトラブルに対する解決策として、以下の修正アプローチを実行した。まず、外部リンクを直接投稿の本文に書くのをやめ、スレッドの「最初の返信」にぶら下げる運用に変更した。さらに、毎日バラバラだった投稿時間を朝8時と夜20時の2回に完全固定し、アカウントの行動パターンの一貫性をシステムに示すようにした。この運用変更を3日間継続したところ、信頼性スコアが回復したためか、インプレッション数は元の水準の約90%まで復帰した。
このアルゴリズム変更をどうサバイブするか?3つの実践アプローチ
頻繁に変化するXのアルゴリズムに振り回されないためには、システムの評価軸を意識したスマートな運用が欠かせない。具体的には、以下の3つのアプローチを習慣化することをおすすめする。
まずは、ブックマークや返信、そして引用リポストを促す文章構成を意識することだ。前述したように、現在のPhoenixモデルにおいてブックマークや引用リポストの価値は非常に高い。「後で見返すためのチェックリスト」や「要点のまとめ」を意識的に投稿に含めて保存意図を高めたり、「皆さんはどう思いますか?」と引用リポストでの意見表明や返信を促すことで、アルゴリズムのスコアを大きく伸ばすことができる。
次に、オリジナル投稿とスレッド形式の活用だ。他人の投稿の単純なリポストや引用よりも、自身で執筆したオリジナルの文章(特に長文や、ツリー状につながったスレッド形式)は初期の配信ウェイトが高く設定されている。スレッドの1枚目には魅力的なフックを置き、2枚目以降で具体的な解説を展開することで、ユーザーの滞在時間を引き伸ばすことが可能になる。
最後に、外部リンクの賢い配置だ。ブログや自社サイトへの誘導を行いたい場合、メインの投稿には概要と画像を添えるのみにして、URLはスレッドの返信欄に「詳細はリプ欄のリンクへ」という形で配置するのが最もペナルティを受けにくい。ただし、これを行うとユーザーの手間が1クリック増えるため、リンクを踏むに値するだけの魅力的なリード文を構築するスキルがこれまで以上に求められる。
最後は結局、人間同士のコミュニケーション
アルゴリズムは今後もイーロン・マスクの一言やエンジニアの調整によって、毎週のように変化していくだろう。しかし、システムの目標は常に「ユーザーの満足度を高め、滞在時間を維持すること」に置かれている。小手先のテクニックで表示数を稼ぐことばかりに注力していると、次のアップデートで一瞬にして露出を失うリスクが常につきまとう。
結局のところ、一番確実な対策は「フォローしている人が本当に読みたいと思う投稿」を一貫して発信し続けることだ。今回のアップデートで「フォロー中心」にフィードが回帰したことは、熱心なファンや読者とのつながりを大切にしてきたアカウントにとってはむしろ追い風と言える。アルゴリズムを自分の見方にする知識を持ちつつも、その本質である人間同士のコミュニケーションを忘れないようにしたい。